刻限アンサンブル[13]
全てを終え、あたしは丸3日間ずっと寝込んでいたらしい。
向こうでの経緯を姉さん達に聞いた。
姉さん達の言った通り、「マルカート」が持っていたと云う、あたしが本来有るべき魔力を失った。
でも、元々あたしの魔力だから、その力を取り戻すのは自分次第だとも言われた。
3日目に面会可との許可が下りたので、皆がウチにやって来た。
そして、一から全ての事情説明会を行った。
あたしは・・・・・・と言うより、あたし達3人は全員に怒られた。
仕方無いって。
あたし個人の事だけど、全員を危険な事に巻き込みたくなかった。
すると、皆は呆れた様子だった。
『全世界を敵に回しても、此処に居る全員は3人の味方だ』
大袈裟過ぎるよ。
でも、そう言われて・・・凄く嬉しかった。
トセ姉さんはラタフィアと闘った時に、少し身体を壊してしまった。
無理とか無茶、って言う次元を超えた強引な方法で、一時的に大きな力を使ったらしい。
あたしとは違う方法だったらしいけど、その内容については詳しく聞かされていないし、姉さんも教えてくれる様子が見られない。
そのせいで、ティーエルに色々と説教されてたみたいだけど。
討伐関係の仕事は2週間ぐらい休みと云う診断を受け、家でゆっくり落ち着いている。
フォン姉さんは、いつもと変わらない。
変わった事と言えば、マリオネストとして成長したいと言い出した事。
マリオネストとしては、まだまだ未熟だと言ってた。
でも、分厚い本を枕にして寝ている姿を結構見掛ける。
確かに、フォン姉さんは家でじっくり勉強すると云うタイプじゃない。
どちらかと言えば、外に出て歩き回ったり冒険している方が好きだからな。
・・・・・・前途多難だけど、頑張れ。
「憑依して運んでやろーか?」
「う、うるさい!自分で歩ける!この・・・体力バカ!」
「ハーネーちゃーんっ!この洋服、絶対似合うってー着てみてー」
「似合って・・・・・・る、のか?」
「・・・・・・おなかすいたの~。そろそろオヤツの時間じゃなーい?」
「その言葉、3分前にも聞いた」
「僕の本、ちょっと壊れちゃったよ。使わせてくれないかな?」
「仕方無いな。ほら、好きに使え」
「オレらが手を組めば、きっとあのバカを倒せるんじゃねーか?」
「・・・・・・一理有るかもな」
「僕の武器は普通の剣だけど、魔法の剣ってのも憧れるよ」
「お前は魔法が無くても充分強いと思う」
「いつも言ってますよね?魔法の乱発は控えないと、いざとなったら困るのは自分ですよ?」
「判ってるんだけど・・・・・・どうしても・・・・・・」
「ハネウタ」
「ハネちゃん」
マルカート。聞こえてる?
命を預ける事が出来る、大事な仲間が出来たよ。
ひとりじゃないから、もう怖く無い。
この世界で、生きて行こうと思う。
Vol.13
Ensemble still continues
『あたしには、それが少し・・・・・・羨ましい』
END
- 最終更新:2010-11-27 14:24:35